こんにちは、コーダーのばやしです。
さっそくですが、皆さんはYoutubeはよく観ますでしょうか?
私はアニメやゲーム関連の動画をよく観ているのですが、ここ最近英語や中国語、韓国語など日本語以外のコメントを多く見かけ、日本のエンターテインメントが海外の人により一層受け入れられているのを感じています。
そのため、エンタメ系のWebサイトにおいても海外に向けた情報発信を行うという事が増えています。
エンタメ系のサイト制作を強みとしている弊社でも多言語に対応したサイトを制作する事があり、この記事ではそれにあたって得られた知見を紹介して行きます。
※本篇では、テキストの翻訳文は自前で用意する想定で、サイトを多言語に対応させる手法について主に記載します。
目次
エンタメ系のサイト制作/運用で挙げられる特徴としては、簡単に思いつく限りですと
などがあり、多言語化する際はこれらを考慮する必要が出てきます。
弊社では情報更新周りに関して都合の良いWordpressとそのプラグインでの実装を推奨していますが、まずは多言語化に関して基本的な所から噛み砕いて紹介していきます。
単に多言語するといっても様々な方法がありますが、弊社で担当させていただいたエンタメ系かつ多言語有りの案件ですと主に下記になります。
主に取り急ぎの対応として行う事が多い手法です。
コーディング面では難しいことを考える必要がなく実装が楽です。
対応言語が増えると閲覧性が悪化するため、多くの言語を扱う場合には推奨できません。
また、サイト全体を多言語化したいという場合にも向きません。
ベースとなるサイトを作った上で複製して、サブドメインまたはサブディレクトリで分けて設置する方法です。
完全にファイルを分けるため、サイト全体の多言語化が可能です。
URLを分けて設置することになるのでSEO的にも好都合です。
言語分の環境を構築する必要がある上、全言語共通な部分を修正する場合など、全言語分修正してファイルを別々のディレクトリにアップロードして・・・というように手間がかかる場合があります。
(一括で本番環境にデプロイできる環境がある場合や、SSIやPHPでテンプレート化している場合などはある程度手間が抑えられます)
最初からWordpressを想定しているサイトであれば、プラグインを入れるだけで対応でき、初期導入に必要な手間としては最も楽と言えるかもしれません。プラグインによりますが基本は1サイト内で管理できるため環境構築や運用の手間も抑えられます。
言語ごとのURL分けも自動的に行われ、サイトの構造部分は全言語共通のため急なデザイン変更などにも対応しやすいです。
導入したプラグインに依存してしまうため、ある程度運用を進めた段階でプラグインを変えたいなどの場合において制約が生じる他、Wordpress本体のアップデートによりプラグインが正常に動かなくなるリスクがあります。
細かくカスタマイズする場合はある程度の知識が必要です。
文章の翻訳からサイトへの出力まで一括して行うことが出来るサービスが多数存在します。
月額+従量課金、または完全に従量課金の場合が多く、基本的には通常のWebサイトの維持費用に追加でランニングコストがかかります。
弊社では、外部ツールでの多言語化も含め様々な手法で対応してきました。
状況によって様々な手法を検討する必要はありますが、管理のしやすさやコスト面でおすすめなのは前述した通りWordpressとそのプラグインでの多言語化です。
そのプラグインにも以下のように様々な種類があります。
代表的なものは「Multisite Language Switcher」で、Wordpressのマルチサイト機能を利用します。
ベーシックなやり方で実例も多いためトラブルシューティングがしやすいですが、マルチサイト機能に対応していないプラグインが存在するなど致命的になり得るデメリットがあります。
代表的なものは「Bogo」や「Polylang」、有料ですが「WPML」があります。世界的に最も人気なのは「Polylang」ですが、日本では「Bogo」が人気のように感じます。(後述)
どれも視覚的に分かりやすく、1サイト内で管理ができるため運用の手間が削減できます。特に「Bogo」は日本人作者によるものなので日本で人気で、日本語情報が多くあり弊社でも導入経験があります。
代表的なもので「qTranslate X」というプラグインがありましたが、こちらは更新が停止してしばらく経っているため今導入するのであれば有志による後継プラグインである「qTranslate-XT」になります。日本語情報に乏しいですが「WPGlobus」というものもあります。
1記事内で全言語分の管理を行えるため、運用が非常に楽で私がおすすめするタイプです。
弊社では「qTranslate-XT」と「Bogo」の実績が主にあるのですが、今回は「qTranslate-XT」に関して、導入してみて見えてきた事を深堀りして書いていきます。
まずこのプラグインについてですが、元々「qTranslate X」というプラグインがあり更新が止まってしまったことから有志によって復活させられた後継プラグインになります。
ちなみに「qTranslate X」も「qTranslate」から分岐したプロジェクトです。
導入済みのサイトの管理画面を見るとこのようなボタンが出力され、クリックするだけで画面遷移を発生させずに切り替えることができます。このポイントだけでも検討する価値があると思っています。
尚、ページ遷移ありでの切り替えにすることも可能です。
「ACF qTranslate」というプラグインがデフォルトで同梱されており、ACFを使用したカスタム投稿などでも多言語化が可能です。ACFはアニメ、ゲーム系のサイトではよく使用するプラグインなため、嬉しい機能です。
※基本的なフィールドタイプのみでチェックボックスなどは対応していません。
例えば「MW WP Form」の自動返信メールの内容なども、inputタグなどに指定されているクラスをプラグイン側で設定してあげることで言語ごとに分けることが可能です。
URLの分け方の設定(サブドメイン、サブディレクトリ、クエリ文字列など)や、ブラウザ設定言語によるリダイレクトなど基本的な機能を備えています。
完璧に良いと言えるものは世の中にそうそう無いわけでありますが、このプラグインも相応のデメリットが存在します。
当の「有志」の方々がやる気を無くして開発を止めてしまったらそこから更新が無くなる事が考えられます。その場合は第2の「有志」を待つか自分がなるしかありません。
とはいえこれはどのようなプラグインでも有り得る話ではあります。(事業として有料版を展開しているようなプラグインであれば無料のものに比べると安心です)
前身である「qTranslate X」が現存している上、旧開発者が全員非アクティブで連絡が取れないため登録が出来ないようです。将来的に登録される可能性は示唆されていますが、どうなるかは不明瞭です。(詳細: https://github.com/qTranslate-Team/qtranslate-x/issues/579 )
そのため、githubからダウンロードして、手動でアップロードしてインストールする必要があります。
「[:en] English [:ja] 日本語 [:]」のように独自の識別子を使用して1記事内に全言語分の情報を格納するという手法のため、他のプラグインと競合する可能性があり導入予定のプラグインをリストアップしての検証が必要です。
また、リニューアルなどにあたりこのプラグインを無効化するまたは他の多言語プラグインに移行する場合に工夫が必要です。何もせずに無効化すると設定されている言語分の情報がすべて1記事内に識別子込みで表示されるようになってしまいます。
1ページ内に全言語分の情報を取得してくる影響か、「1言語1記事」タイプの物に比べて管理画面が重く感じます。
さて、散々「qTranslate-XT」について書いてきましたが、このプラグインが絶対おすすめということはなく、サイト内容によって考慮/検証する必要があると色々触ってみて思います。
以下は私の個人的な見解です。
「qTranslate-XT」「WPGlobus」が良いでしょう。
頻繁な情報更新や告知が必要なエンタメ系サイトの場合、少しでも入力の手間を減らせるためその点で優良です。
「qTranslate-XT」がセキュリティやプロジェクトの健全さに不安が残るようでしたら、有料アドオンなどがリリースされていてWordpress公式に登録されている「WPGlobus」が選択肢として挙がるでしょう。尚、私が検証した限りですと「WPGlobus」はデフォルトではACFに上手く対応してくれないためACFを使いたい場合はよく検証する必要があります。
※この記事を見て検証しようとしている方は間違えて古い「qTranslate X」の方を入れないように注意してください。
「Bogo」「Polylang」「WPML」が良いでしょう。
これらは識別子などの挿入が無いため他のプラグインとの競合の可能性が少なく、プラグインを無効化した際も全言語の記事が別々に表示されるだけで不自然な表示にはなりません。
また、タクソノミーフィールドやチェックボックスなど、テキスト入力系以外のカスタムフィールドをたくさん扱う場合も「qTranslate-XT」などではカバーしにくいためこれら3つのタイプがおすすめです。このタイプは内部的には別記事/別IDとなっているため、カスタムフィールドまで含めて完全に言語ごとに分けることができます。
弊社では例えばゲームの事前登録ページやキャンペーンLPなど、動的な出力を伴わない静的サイトを制作する機会も多々あります。
このような場合は独立したページとして公開するか元となるサイトの下層ページにするかにもよりますが前者の場合はそもそもWordpressが不要なため、別の手段で検討する必要があります。
色々と紹介して来ましたが、弊社では様々なタイプでの導入実績があるため、サイト用途に適した手法を提案させていただきます。
ばやし
WEBコーダー。お絵かきと音ゲーと写真撮影(旅行)が趣味。 最近はAIに脳を破壊されています。